韓国のTOEIC事情、スコアインフレの背後にあるもの

日本と韓国のTOEICの違いとその理由を書いた記事で、韓国がTOEICに熱心な理由に以下の2つを上げました。

  • 韓国の大学進学率は約70%で、卒業要件にTOEICの点数が課せられているから
  • 今もなお続く就職難で、就活時にハイスペックが求められるから

このような社会的背景により、この20年間で韓国は大きくTOEICの平均スコアを上昇させています。

一方で、TOEICスコアのインフレが問題視されています。
なぜ、韓国でTOEICスコアが急上昇しているのか?
韓国のニュース記事を元に、その背後にある事情と原因を探ります。

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韓国におけるTOEICスコアの急上昇の理由

韓国では、過去20年間で、TOEICのスコアが急上昇しているニュースがありました。
過去20年間で、韓国人のTOEIC平均スコアは990点満点中122点上昇し、2001年の566点から2020年の688点に上昇しました。特に2013年から2016年にかけては、3年間で51点も急上昇しています。
(参考:[단독] 한국인 토익 122점 상승…’점수 인플레’ 관리 실패했나. 한국경제신문. 2023.01.24, (2023.06.22参照)

実は日本でも、短期間で平均スコアが急上昇しています。日本の平均スコアは、過去10年間で510点から557点に47点上昇し、特に最近2年間で31点急上昇しています。

こちらのニュース記事では、韓国のTOEICスコアが上昇した理由を2つ挙げています。

  1. 2回の試験改訂後も「990点満点」は維持されたため
  2. TOEIC需要増加のため、TOEICの点数を上げる攻略法が広がった

韓国で広がる”TOEIC攻略法”

就職用のTOEICスコアを作るための補習教育市場が大きく発展し、受験者がTOEICの攻略法を習得したということです。これにより、TOEICのスコアが上昇したと考えられます。この市場の発展は、受験者がTOEICの「コツ」を学び、スコアを上げるための戦略を習得する機会を増やしました。

TOEICスコアインフレは問題なのか?

同記事内では、このようなTOEICスコアの急上昇はスコアインフレが発生の問題があると指摘しています。

スコアインフレーションが起きると、受験者の英語能力を正確に区別することが難しくなります。これは、公務員採用や大学院進学など、TOEICのスコアが重要な役割を果たす場面で問題となります。

スコアインフレへの対策

この問題を解決するためには、TOEICのスコア体系の見直しや、英語能力の真の評価を行うための新たな評価基準の導入が必要となるでしょう。また、英語教育の質を向上させるためには、英語教育の目的と方法についての深い理解と、そのための具体的な戦略が必要となります。

以上が、韓国のTOEICスコアの急上昇とスコアインフレーション問題についての考察です。これらの問題は、英語教育の質と公正性に直接関わる重要な課題であり、今後の教育政策の方向性を決定する上で重要な参考になるでしょう。

(参考)
[단독] 한국인 토익 122점 상승…’점수 인플레’ 관리 실패했나. 한국경제신문. 2023.01.24, (2023.06.22参照)